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お伝えします。
不器用さの向こう側を見るために、支援者にできること
感覚統合について理解するために、数回にわたって「感覚処理障害」の発達の歴史とその理論について学んできた社内の専門研修。
このなかで、繰り返し出てきたキーワードが「発達性協調運動症」でした。
感覚処理障害を深く掘り下げる
感覚処理障害は、わかりやすく言うと「感覚刺激の入力から行動(出力)までの間に障がいが起きている」という状態です。
そして、その症状によって、起きることや表面化する問題は違ってきます。
「感覚処理障害」を分析し、発展させてきた歴史の中で、感覚調整障害・感覚識別障害など、「どんな不具合が起きているか」を細分化させながら、研究は深められてきました。
そして「感覚を基盤とする運動障害」は、いわゆる「不器用さ」につながり、日常生活のなかでの困りごとにつながりやすいことが分かってきたのです。
発達性協調運動症DCD
発達性協調運動症(Developmental Coordination Disorder)は、「姿勢障害」や「行動機能障害」として現れます。
例えば、姿勢の維持やバランスがとりづらく、長い時間同じ姿勢を保つことが難しかったり、姿勢を保つために多くの努力とエネルギーが必要だったりします。
また、周囲の状況や自分のことを分かって「○○しよう」と思って、行動のプログラムを立てて、実行しながら調整していく、という過程のどこかに問題が起きます。
「理解して動作に移すまでがスムーズに移行していけば良いけれど、間の抜け落ちたパラパラ漫画のように一連の流れがカクカクしている状態に似ている」という冨樫顧問の表現に頷くスタッフ。
「不器用さ」とひとことで表現してしまうことは簡単です。でもそうした「運動や動作のぎこちなさ」や「適切な姿勢がうまくとれない」といったひとつひとつが、家庭や学校生活での困りごとにつながっていくのです。
「実はできていなかった」 「これが難しいのか!」に気付く
未就学児と小学生では、発達のどこに着目するのかは異なります。
運動や活動の一つ一つに注目し、子どもたちの成長ににつなげることが私たちの役割。
ただ、小さな気付きや変化は、ときによって、また支援する人によって、見えたり、見えなかったりすることもあります。そんなとき役立つのが、支援すべき点や目標を明確にする「臨床観察検査」です。
臨床観察検査で分かること
「臨床観察検査」の目的は、一人一人のお子様の「できている・できていない」を数値化すること。
すべての支援はアセスメントに基づいて考えますが、検査による数値結果がチームで共有されていると、方針や指針の理解にズレや差異が生まれにくくなります。
「知識を習得」から「やってみる」まで
適切な採点結果を出すため、かつ子どもたちが戸惑わないように、検査者は適切な伝え方や動作をしなければいけません。
そこで、研修の最後はグループに分かれて演習をしました。
スタッフ間で利用児童の動作や様子を想定し、「以前にこんな感じになったことがある」 「きっとこんなふうになるのでは」と確認できる、具体的な演習になりました。
また「この動作とこの動作は関連性があるから、次の利用時に意識して見てみよう」と、これまでと違った視点で注目したいところを話し合う場面もありました。
なんとなくではなく「より明確な支援」に
今回の感覚統合に関する連続研修では、検査の意義を明確にし、支援に対する意識統一ができました。
「臨床観察検査」の重要性にも、共通認識を持ち、正しく理解することができたので、これからも事業所ごとに基準持ち、効果的なチームケアにつなげていきたいと考えています。
※トモデココグループで活用している検査表は「厚生労働省、令和4年度障がい者総合福祉推進事業DCD支援マニュアル」をベースに、自施設向けに再編集・アレンジしたものです。
厚生労働省から出ている「DCD 支援マニュアル」はこちらから閲覧できます▶https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001122260.pdf
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