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2024.06.07

感覚統合指導の最前線を学ぶ

今月の専門研修では、トモデココが開所当初から取り入れてきた「感覚統合」の根っこの部分について、改めて学びました。

徳島の療育現場と療育指導の最前線で活躍して来られた冨樫顧問。

感覚統合療法の歴史をさかのぼる

学習障害に対する仮説を立て、「感覚統合の定義」を理論づけたエアーズ博士のエピソードなど歴史をさかのぼった話からスタート。

なかでも、身体を縦で割ったときの「正中線」を越えて、「中から外へ」「外から中へ」目が動くときの力が未熟な場合に起きる現象に着目した、エアーズの話は印象的でした。

いまでは「眼球運動の未熟さ」や「脳の状態」が原因のひとつになって、こうした左右の動きで不具合が起きると分かっています。でも当時は脳と発達障がいの関係がまだまだ明らかではなかったので、エアーズの考え方が周囲に受け入れられなかったそうです。そんななかでも、エアーズは、発達障がいへのアプローチに「視覚・触覚・手の動作」などを、脳の仕組みとつなげて考える、という視点で研究し続けました。

利き手と補助手の役割の重要性

「例えば、右から左へ線を引く、左側のものを右手で取る、左てに持ったものを右側に置く、など正中線外から中へ動くときのどんな動作が難しそうか、という視点を持って観察してみてほしい」と冨樫顧問。

ほかにも、積み木の積み重ねひとつとっても、取り組む様子に着目すべきポイントを交えて話してくれました。

それは、右に10個、左に10個の積み木を分けて並べ、積み重ねていく、というもの。

「どのように利き手と補助手を使い分けているかをしっかり見てほしい。

利き手の発達が言語発達に及ぼす影響が分かっているから、ことばが出づらい、という悩みや困りごとがある場合、言語力を伸ばす直接的な支援だけでは変化を生むことはできない。

こんなふうに、言葉の発達が遅いひとつとっても、利き手と補助手の使い分けの力を伸ばす、そのために目の動きにも着目したトレーニングを取り入れよう、そういう関連性に気付けるわけです」。

ONE OF THEM(ワンオブゼム)

脳の仕組みと関連付けながら発達障がいを研究し続けたエアーズですが、当時は「脳」についての解明がされていなかったため大きな反発もあったと言われています。

現代においても、体の動きに着目するムーブメント療育、刺激と行動を関連付けるABAなど、脳とはあえて切り離した療育方法も多数あります。

それについて「どちらがいいとかいうものではない」と冨樫顧問。

「それがいつも言っている ONE OF THEM ということ。いろんな指導方法を集めて、子どもたち一人一人に総合的にまとめて専門的支援につながっていくと気づいてほしい」と続けました。

いま私たちが取り組んでいるこの手法やプログラムは、その子のための総合療育を構成する、たった1ピース!
でも、その1ピースがなければその子の言語の成長は完成しないし、利き手と補助手の発達につながらないかもしれない!
トモデココが開所当初から掲げてきた支援方法が、頭と心でぴたりと一致した気がしました。

法改正により新たに加わった五領域にも当てはまるトモデココの支援。



知る、そして、やってみる

「子どもたちの困り感」に気付くときの事例や検査方法に関する知識もてんこもりの研修。

せっかくなので、検査役と子ども役に分かれて、「触角の二点識別検査」を体験してみました。

検査役が、目を閉じた子ども役の薬指をタッチ。1本で触れた?2本で触れた?

「1本!」と堂々と答える人もいれば、「2本?」と不安そうに答えて正解する人も。

「3本?」 ・・・・←←←緊張のあまり、「1本か2本か?」という問いかけ自体を忘れてしまったスタッフ(笑)。

私たち大人もこうなんだから、子どもたちが1回のテストで正解できないなんて当然かも!検証とテストを繰り返すからこそ成長を感じられる!と、体験を通しての気付きもありました。

「行動に着目する」ためには支援者の
総合的な知識が不可欠

もしも支援者が「理論」や「根拠」を持っていなければ、「この子が困難に感じていることをなんとかスムーズにできるようにしてあげよう」と一方向からのアプローチになってしまいます。

だからこそ、「言葉の力を伸ばすために、利き手や補助手のトレーニングやビジョントレーニングをうまく組み合わせていくことが必要だ」という知識をはじめ、日々取り組んいるプログラムを振り返る学びの場が不可欠です。

今回の専門研修を通して、「トモデココの総合療育プログラムが目指すもの」の輪郭が、またひとつ濃くなった気がしました。

でも実は「感覚統合指導の最前線」の研修は、まだ前半。
いや、これはまだまだ
序章だったのです!!!!!

そう、感覚統合指導の奥は深い・・・


日々の感覚統合指導をブラッシュアップしていくためには、スタッフ一人一人が知識を持って、「子どもたちの成長を見る目」を養っていくことが大切です。

キャリアの長さや経験値に関わらず、常に学び続ける姿勢を!

SOUの人材育成評価制度の芯の部分が、毎月の専門研修のなかにぎゅぎゅっと凝縮されているのでした。

**晩年のエアーズの様子はYouTubeからも学ぶことができます**
▶In the Clinic with Dr. A Jean Ayres| The Sensory Processing Disorder Foundation

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